the Back of Moonlight
月光の裏側で
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第八章 木ノ下涼&井坂淳ほか<柔道部編> 〜片恋〜
 1,好奇心

    (走りながら…他からわざと遅れて)
井坂  「涼……さっきの、見たか…?」
木ノ下 「……野球部だったな…」
井坂  「…二ツ木だったろ…?」
木ノ下 「…さあ… どうかな…野球部、人数いるから」
井坂  「…何してたと思う?」
木ノ下 「ションベンでもしてたんじゃねぇの」
井坂  「……ま、そうじゃないとも言えないけど」
木ノ下 「やな言い方だな…」
井坂  「…お前だって知ってるんだろ…?」
木ノ下 「なにを?」
井坂  「なにって……」
木ノ下 「…二ツ木が五十嵐を好きだってことは知ってる。
     さっき奥にいたのが五十嵐なら仲直りしたってことかもな…」
井坂  「…なんかきれいごと……」
木ノ下 「そういうこと詮索すると、興味があると思われるぜ」
井坂  「! …なるほど…そうなるのか……」
木ノ下 「……」(お互い無言で走る)
    (しばらくして)
木ノ下 「……井坂、なにか知ってるのか…?」
井坂  「…え? ああ、あの2人? …仲が良いのはみんな知ってる…
     でも、どういう仲なのかを知りたいと思ってるヤツは…
     ってことだろ?」
木ノ下 「まあな…」
井坂  「お前はどこまで知ってんの? 二ツ木とは同室だろ?」
木ノ下 「ああ… お前は何を知りたいわけ?」
井坂  「……好奇心…ってだけじゃダメか? あいつら本気なの…?」
木ノ下 「それさあ、どういう意味よ? お前、やばいよ?
     俺に疑われてるよ?」
井坂  「…だから単なる好奇心だってば…」
木ノ下 「(井坂の道着を引っ張って足を止めさせる)井坂…」
     (皆が離れて行くのを視界にいれながら)
井坂  「なに…?」
木ノ下 「その好奇心って、あいつらのことを知りたいってこと?
     それともあいつらのやってることを知りたいってこと?」
井坂  「…まいったな…… お前、マジで聞くわけ…?」
木ノ下 「……」
井坂  「…二ツ木と五十嵐の仲がどこまで行ってようが、俺が気にすると思う?」
木ノ下 「…ま、そうだよな…」(ゆっくり走り出す)
井坂  「(追いかけて)…おい、涼! その思わせぶりなの、やめろよ!
     お前はどっちなんだよ!?」
木ノ下 「知りたけりゃ、このままゆっくり走ってろよ。
     でなけりゃ、さっさと前に追いつくんだな」
井坂  「………」(木ノ下に並んで走る)
     (校内まで来て)
井坂  「…いいかげん、なにか言えよ?」
木ノ下 「(足を止めて)…何が聞きたい…?
     どうせ、お前の考えてることなんてしれてる。
     お前の期待に応えるのは簡単だけど、……(少し考えて)
     ま、いいか…
     八田!(歩いて行く生徒をよびとめて)
     道場、まだ閉めてないよな?」
八田  「…木ノ下…ああ、三上が残ってる。
     何やってたんだ? 調子でも悪かったのか?」
木ノ下 「ああ、ちょっとな… 足がつった」
八田  「あ〜…(頷く)」
木ノ下 「皆、上がったんだろ? 俺、道場でほぐしてから上がるわ」
八田  「あー、ちゃんと閉めとけよ、じゃな」
・・・・・・・
     (練武場にて。他の生徒は皆上がった後)
三上  「じゃ、木ノ下先輩、あとお願いします」(ぺこっと頭を下げて出て行く)
木ノ下 「ああ、…じゃ、ちょっと身体ほぐすかな…」(首を回す)
井坂  「……」(所在なげに立ってる)
木ノ下 「突っ立ってないで手伝えよ」
井坂  「あ、ああ… 柔軟…?」
木ノ下 「いや、乱取り」(と、言った時には、襟を掴んで足を払ってる)
井坂  「!」(受け身は取ったものの腰から落とされる)
木ノ下 「…(襟を掴んだまま馬乗りになって)井坂、お前、何を知りたいの?」
井坂  「……」
木ノ下 「(帯を解いて道着を開く)…なんで抵抗しないわけ?」
     …かってぇ腹だな…」
井坂  「…ぅ…」
木ノ下 「それ、痛いの? それとも気持ちいいの?」
井坂  「………」
木ノ下 「……井坂…… 当たってるぜ……」
井坂  「(硬い表情で)……涼…お前は…どういうつもりなんだ…?
     これは…遊びなのか…?…もしそうならどけよ」
木ノ下 「! …遊び以外に何があるんだよ…?」
井坂  「…じゃあ、どけ」(きっぱりと言う)
木ノ下 「!… どいていいのかよ…?」
井坂  「何もお前に頼らなくたって、そんなもんいくらでも処理出来る。
     早くどけよ」
木ノ下 「じゃ、じゃあ、なんでついて来たんだよ!?
     思わせぶりなのはそっちだろ!
     今更、気取るなよ! こんなにでかくしといて…!」
井坂  「触るな!!」
木ノ下 「(びくっと手を止める)……」
井坂  「……俺は、お前の遊び相手になる気は無いんだ。
     だから降りろ」
木ノ下 「……(井坂の熱を意識して)…いやだ… と、言ったら…?」
井坂  「(口の端で笑いながら)俺を襲う気か?
     無駄だろ?」
木ノ下 「…無駄ってどういうことだよ…?」
井坂  「…お前、体重何キロだよ?俺より10キロは少ないよな?
     お前をひっくり返すのなんか簡単なんだぜ?
     技では負けるけど、力なら負けない」
木ノ下 「………お前、そんなふうに思ってたのかよ……
     …………(歪んだ笑い)
     ……いいよ、どくよ… 気分萎えた」(腰を上げる)
木ノ下 「あ〜〜あ、無駄な時間使っちまった!」(井坂に背を見せて伸びをしながら)
井坂  「(起き上がって)…涼… お前、こんなこと、何回やったんだ?」
木ノ下 「(振り返って)……お前に関係ないだろ。
     …また好奇心か? それとも説教でもするのか?
     (気がついて)…その状態で説教されてもな…(苦笑)」
     (はだけた道着のせいで、局部の膨らみがよくわかる…)
井坂  「……なあ、涼、頼むから話しさせてくれよ…」
木ノ下 「…なんの話だよ…?」
井坂  「…俺、女の子に告白された」
木ノ下 「!!……それはよかったな…おめでとう…じゃ…」
     (向きを変えて去って行こうとする)
井坂  「涼…っ!! お願いだからちゃんと聞いてくれよ!!」
     (後を追って腕を掴む)
木ノ下 「……」
井坂  「…従姉妹なんだ。同い年の。俺の家、海に近いから毎年親戚が来てて…
     去年は受験で来なかった二個上の従兄弟が1週間来てたんだ。
     いつもは一人で来るのに、今年は妹がついて来て」
木ノ下 「…どんな子?」
井坂  「あ? …べつに普通… 水泳部だって、競泳用のなんかカッコイイ水着着て、
     男みたいに髪が短くて背が高くて足が長い…」
木ノ下 「………よかったな」
井坂  「? なにが…?」
木ノ下 「…その子に告白されたんだろ…? よかったじゃん」
井坂  「…ほんとにそう思うのか…?」
木ノ下 「ん…? だってこの学校にいたら、女の子と付き合うどころか、
     友達になるのだって難しいじゃん。
     外見も悪くなさそうだし、振っちゃうのはもったいないだろ…」
井坂  「………お前でも、付き合うのか…?」
木ノ下 「…お前でも…って……」
井坂  「…だって………お前、男が好きなんだろ…?
     それともどっちだっていいの…? お前ならどうする……?」
木ノ下 「俺なら…? 俺は…… 俺だったら……… 」
井坂  「涼なら…?」(じっと涼を見ながら)
木ノ下 「あ、相手による! か、可愛ければ付き合う!」
井坂  「!!… そうか…
     じゃあさ…紹介するよ…今度…
     俺の従姉妹にしては、可愛いと思うぜ…」
木ノ下 「!? な、なんか変だろ…? それ…?
     お前が付き合うんだよな…?」
井坂  「…いや… 俺は無理… 俺… 俺さ…
     俺………(なにか言いたげだが、出てこない)
     いいや… お前ならわかってくれるかと思ったんだけど…
     …女の子とも付き合えるんならいいんだ…
     お前なら薫も喜ぶと思う」
木ノ下 「おい、井坂……!」(焦って)
井坂  「(後ずさりしながら)ごめんな、変なことで時間取らせて。
     俺、先、行っていい? ごめん!じゃあな!」
     (くるっと振り返ると猛スピードで駈け去って行く)
木ノ下 「…………(呆然と見送った後で)かぁ〜〜〜〜〜!(天を仰ぐ)
     大失敗…… 俺のバカ…! 大バカ…!!」


 
 第8章・2へつづく
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・・・38のトップ絵と37のトップ絵を入れ替えました。混乱した方おりましたらすいません。木ノ下はいいとして、井坂淳…ど〜やって描いたらいいのか、わからん!…と、ぶつぶつ言いつつ描きまして、そうなると順番的にこっちが先かな〜と思ったので、替えました。


ちなみに↑が、替える前…木ノ下は男前にしたかったんです(…男前だと思ってください!)前回、二ツ木が木ノ下の声を聞き分けたことで漸ちゃんが妬くのは木ノ下が男前だからなんですね。…海神

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■the Back of Moonlight(月光の裏側で) <37>■海神社 Kaijin-sya 第一版 2007/10/07
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