the Back of Moonlight
月光の裏側で
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第五章 星赤慧&桐窪貢編・2 〜記憶〜
 2,ガード

     三週間前 
     某ファミレス

貢   「星赤さん…! ここです」
マース 「ああ、待ったか?」
貢   「いえ…」
マース 「夕飯は?」
貢   「まだ…」
マース 「俺も。でもまず、ビールだな…と、お前は無理か」
貢   「…制服ですからね。星赤さんはどーぞ」

・・・・・・・・

     (食事をほとんど摂らずにビールを流し込む)
マース 「………桐…か… ここでそういう名前のヤツと飲むなんて悪酔いしそうだな…」
貢   「…星赤さん、前は僕のこと桐って呼んでたのに、
     最近は貢って呼びますよね… それと何か関係あります?」
マース 「うん? なくはないな。
     前に桐って名前のヤツとつきあってたことがあるのさ。
     …それで振られたんだよ。
     だから桐ってのは、呼びたくて呼びたくない名前ってわけさ」
貢   「呼びたくて…? 桐…って…? それが僕とつきあった理由…?」
マース 「…お前、ホントに勘が良いな…そう…
     お前が桐って名前じゃなけりゃ興味は持たなかっただろうな」
貢   「……わざと言ってます…?」
マース 「……」
貢   「…たまには、僕を喜ばそうとか思わないんですか?」
マース 「…それに正直に返事を返されてもお前が困るだけだろ」
貢   「…からかわれてるんだと思えばいい… そう思えば流せるから。
     でも、先輩は、本気で言ってる…
     僕の逃げ道を塞いで苛めるのは楽しいですか?」
マース 「そうだな。お前は覚えが早いから、反応が良くて楽しいぜ。
     それに… お前の前だと、俺は酔えるしな。出ようぜ」

・・・・・・・・

     (慧のマンションの部屋で)
貢   「…星赤さん、…大丈夫…?」
マース 「…ホントに悪酔いしたみたいだな… たかがビールで…」
貢   「ほとんど何も食べずに立て続けに大ジョッキじゃ…」
マース 「…もう1人の桐もそんなこと言ってたな、昔」
貢   「……ほんとうに振られたんですか…?」
マース 「…ああ…… 振られたというより捨てられたのさ、二度と会いたくないってな」
貢   「……きっと嫌いになったわけじゃないですよ…
     星赤さんとは、…続けられなかったんですよ……」
マース 「…………」
貢   「…!…すいません!」
マース 「…慰めたつもりなんだろ…? (いいよ、という顔)
     …お前もそう思うか? …続けられないって…?」
貢   「……僕には選択肢がないですから」(薄く笑う)
マース 「ない?」
貢   「……僕のほうには、下りる札がないから。(服を脱ぎ始める)
     どんなにひどいカードでも続行しかない。
     そう言ったでしょ? この間?」(壁を背にして座る慧の腰にまたがる)
マース 「……」
貢   「桐……って呼ばれるの、好きでした。すごく大事そうに言うから。
     (シャツのボタンを外してゆく)
     …別の人のことでもいいんです。今、この時間を使ってるのは僕だから」
     (ベルトを外す)
マース 「……」
貢   「誰のことを考えてようが、星赤さんのを入れてるのが僕なら、
     それでいいんです……高望みはしない……
     星赤さんが僕でイってくれるならそれでいい…」
     (半起ちのモノを右手で撫でながらキスする)
マース 「…………」(手を出そうとして止められる)
貢   「…いい…自分でやります(指を口に含む)」
マース 「……」
貢   「……(身体をずらして星赤のものを口にする)
     …星赤さん、いいですよね…?」
マース 「……」
貢   「……(入れてゆく)
     …いいの! 動かないで!」

・・・・・・

マース 「…期待して来たんだろ…? 悪かったな…
     …八月は…キツイんだ…」
貢   「…その人と別れたの?八月に?」
マース 「……別れたのはもう少し後だ…でも思い出が多すぎる…」
貢   「…僕、今日来てよかったな」
マース 「?」
貢   「……生身の星赤さんを見てる気がする」
マース 「…いつもは生身じゃないのか?」
貢   「…うん… ガードがあるよね…」
マース 「誰だってあるだろ」
貢   「…そうだね。でも、ガードをどれだけ甘くしてくれるかで、
     計るもんじゃない?」
マース 「…つまり、今の俺はガードが甘い?」
貢   「あ、またやっちゃった…」
マース 「……先読みするなよ… お前の言うこと、当たってるよ…
     俺はお前にはガードが甘くなってるんだ」
貢   「…女ならここで、甘えないで!とか言うのかな?」
マース 「人によるな。甘えられるのが好きなヤツもいる、嫌いなヤツもいる」
貢   「…それは女の人の話?」
マース 「うん? ああ、そうだな」
貢   「…どっちのほうが好き?」
マース 「甘えられるほうがいいに決まってるだろ、
     でも女に甘える時は気をつけろよ、限度があるからな」
貢   「…星赤さんに女の扱い方を教わるとは思わなかったな…」
マース 「べつに恋愛に限らないぜ…」
貢   「…ねぇ…少し眠ったら…? 僕、シャワー借ります」
マース 「…そうだな…好きにしろよ…」

・・・・・・・・

マース 「桐っ! 行くなっ!」
貢   「星赤さん!?」
マース 「……ああ… お前か……」
貢   「………少しうなされてましたよ…
     ……そんなに好きだったんですか…?」
マース 「……分からないな… そんなこと考える前にアイツは死んじまったから」
貢   「死!? 死んだの!?」
マース 「ああ… もうこの世にはいない…
     だから執着してるのかもな… …あんなことになると分かっていれば
     もっと優しく出来たのに……とかな」
貢   「優しく…? 優しくしなかったの? その人には?」
マース 「…初めてだったからな… 優しくする余裕なんてなかったのさ」
貢   「………
     ……嘘でしょう…?」
マース 「…… 嘘…? どうしてそう思うんだ…?」
貢   「…なんとなく… …逆……のような気がする。
     きっと、優しくしすぎたんだね…」
マース 「………」
貢   「星赤さん!? うぐ…」(片手で手首を、もう片方で口を押さえられる)
マース 「…………」(手首をひねって背中側に持って行く)
貢   「いっ…!!… ごめん…ごめんなさい…! 星赤さんっ! 止め…っ…」
マース 「止めていいのか? して欲しかったんだろ?」
     (俯せに返して膝で押さえ込む)
貢   「ごめんなさいっ! 星赤さん! 謝ります!」(手を外そうと抗う)
マース 「何を謝るんだよ? 何を謝る気なんだ?」
貢   「……ご…めん…なさい… 許して……」
マース 「だから何を謝るんだよ?」(耳元で半ば嘲るように))
貢   「………」(黙る)
マース 「……賢明だな…
     桐……俺はアイツに、もう一人の桐に、心から優しくしたかったんだよ、
     出来る限り優しくしたかったんだ!
     …でもアイツはそうさせてくれなかった。
     …なのに、なんでお前が、そう言うんだ?
     …優しくしすぎた…? 分かったようなこと言うな!
     俺が何をしたか、お前に分かるのか?」
     (言いながら頭を押さえて尻を持ち上げる)
貢   「星赤さん……やだ……いや……怖いよ…(不安気な声)
     …あっ! ………ひっ!……ぅあっ!!…あ…あ…」
     (押さえられたまま、なんの予備もなく根元まで突き入れられる)
マース 「どうだ? これが優しいってことか?」
貢   「あ… …わ…わかりません……」
マース 「!! ……(抜いてまた突き入れる)」
貢   「あーーーっ!!」(大声ではないが、悲鳴に近いような声)
マース 「…桐…ッ!! なんでもっと抗わないんだよ!!
     もっと抵抗すればいいだろ!? どうして受け入れちまうんだよ!?」
貢   「…ぁ…ぁ… わ… わからない…… わかりません………」
マース 「……っ!! …こんなの、暴力だろ!? 抗えよ!!」
     (と、言いながら突っ込む)
貢   「ひ…っ…! あ、あ、あ、…だって… せ、星赤さん……
     …な、…泣いてるみたいな…気がする……
     ぼ、僕の…い、痛みなんか、…ただ…痛いだけだもの……
     い、今だけのことだから……が、我慢出来る……」
マース 「……!!…… 桐…………」(手を離す)
貢   「………せ、星赤さん……?…も、もう、いいの…?
     僕、大丈夫だよ…?」(俯せのまま)
マース 「………アイツも…そんなふうに思ってたんだろうか…」(貢を離す)
貢   「……」
マース 「…俺のために、受け入れたのか…?」
桐   「………好きだからだよ… 決まってるじゃないか…
     …どんなに痛くたって、苦しくたって、
     星赤さんがそうしたいんなら受け入れる…」
マース 「俺が…? そうしたいって…?」
桐   「………」
マース 「…いや… 違う… アイツは、それを望んでた…
     だから俺は…!」
桐   「…その人がそうして欲しかったから、そうした、…好きだから。
     星赤さん、その人は、それが好きな人だったんでしょう…?
     …だから、そうしてしまった…(起き直る)
     星赤さんは、悪くないよ…」(頬に触れる)
マース 「桐…! …分かってる… 分かってるんだ… でも…
     …この時期になると、…やり直したいと願ってしまう…
     もっと、違う道があって、それを選べばよかったんじゃないか…?」
桐   「…どんなルートを通っても、その人を変えることは出来ないよ…
     …僕が、星赤さんを好きなことを、星赤さんが止めさせることが出来ないのと同じ」
マース 「…………悪かったな…
     (桐を見て)…お前は…? お前は俺にどうして欲しい?桐…?」
桐   「……素直に言えば… …優しくして欲しい…(頬に星赤の手を感じる)
     …僕のことだけ考えて、僕を喜ばそうとして欲しい…(こめかみから顎にかけて唇が触れる)
     …時間をかけて…ゆっくり…夜は…まだ長いよ……」(キス…)
     (抱合いながらゆっくり倒れ込む)

 第5章・3へつづく>>>>>

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・・・もう一人の桐こと桐水修二との一件について興味のある方は、本編のほうの「青桐」をお読みください。読む必要があるかと言われれば、べつにないとは思いますけど…。
正美と話す時と慧と話す時と桐君のムードが違うのは、先輩同輩の差と…やっぱり甘えてるんだろうな…私は行為よりもそういう変化のほうがキますね…とにかく声に弱いから…海神

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■the Back of Moonlight(月光の裏側で) <26>■海神社 Kaijin-sya 第一版 2007/08/19
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