the Back of Moonlight
月光の裏側で
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第五章 星赤慧&桐窪貢編・2 〜記憶〜
 1,インターバル

     明日から授業再開の前日。寮の部屋。
     同室の桐窪貢が荷物を持って入ってくる。

正美  「桐! 元気してた?」
貢   「……おう…正美!? どしたの…お前? 真っ黒じゃん…」
正美  「ああ… 自転車旅行してて昨日帰ったとこ」
貢   「自転車…? お前らしくないな…1人で?」(荷物を下ろしながら)
正美  「…ん…と… 二人で…」
亨   「ちわっす」
貢   「誰? これ? 青バッヂがなんでいんの?」
正美  「…今日で最後だから見逃してよ…亨、同室の桐…桐窪」
亨   「加藤亨です。よろしく」(頭を下げる)
貢   「(うさんくさそうに)…どっかで見たな…」
正美  「あ、亨、野球部だから。試合で見たんじゃない」
貢   「ああ! 思い出した。野球部のエースじゃん。
     どしたの? こんなとこで?」
正美  「…居残り組で、従卒やってもらった…」
貢   「野球部のエースに!?」
亨   「…や、あの…」
貢   「あ〜あ、ばれたらまた苛められるぜ…」
亨   「えっ!?」
正美  「冗談、冗談だよ」
亨   「…来年、正美先輩の従卒やる気なんですけど…」
貢   「正美先輩ときたぜ」
正美  「…無理かなぁ」
貢   「…お前ら、つきあってんのか?」
亨   「はい」
正美  「あ、違うよ、友達になっただけ」
貢   「…どっちでもいいけどな… 亨…って呼んで平気か?」
亨   「あ、どうぞ」
貢   「正美は、同期のアイドルだって知ってるか?」
正美  「えっ!?」
亨   「………」
貢   「…わかってるって顔だな…お前ら、寝たんだろ?」
正美  「!(顔色が変わる)」
貢   「亨、さっさと出てけ。自分の立場を考えろ。
     二度とここには来んなよ、お前のためじゃない、正美のためだ」
亨   「…はい。わかりました」
正美  「桐… なんで… 亨、ごめんな…!」
亨   「正美先輩…」
貢   「愁嘆場ならまずドアを閉めてからにしろよ!」
亨   「(ドアを後ろ手に閉める)…先輩、俺がバカでした。
     昨日で終わったんですよ…夏休みは。
     四月まで…いえ、三月の卒業まで待ってて下さい。
     俺…絶対に……!! (正美の肩を掴んでキスする)」
正美  「…待ってる! 待ってるから…!!」
亨   「桐窪先輩、お邪魔してすみません。
     …でも、僕は本気ですから。…正美先輩のこと、よろしくお願いします」
     (最敬礼)
貢   「…ああ。…ちゃんと勉強しろよ、一応試験あるんだからな」
亨   「…大丈夫です(にやっと笑う)。じゃ!失礼します」(出て行く)
正美  「亨…
     …桐…! ひどいよ…!」
貢   「お前なぁ…いくらなんでも、中坊を連れ込むのはご法度もいいとこだぜ…。
     いくら、居残りで仲よくなってもさあ…
     まだ午前中で帰宅組が戻ってないからいいけど…」
正美  「…アイドルってなんだよ…?」
貢   「…アイドルだからアイドル。四月になったら髪切ればいいよ。
     受験体制、とか言って。そしたらわかるよ」
正美  「…亨が切るなって…」
貢   「切るなって言ったの?あいつ? ぷぷぷ…
     心配だろうなぁ… 可哀想に… それで操立てる気なんだ?」
正美  「……」
貢   「…四月までは長いぜ〜 …身体が持つかな〜?」
正美  「……」
貢   「正美はモロ、ネコだもんな… アイツにどれぐらい、やられたの?」
正美  「…桐、なにかあった…? すごい言い方キツイ…」
貢   「…!… …あったのかな… なかったのが問題かも…」
正美  「最後に会った時と逆だね…」
貢   「…最後に… 夏季講習最後の日か…」
正美  「…あの日、桐は、すごく嬉しそうだったよね…。
     反対に僕は憂鬱で仕方がなかった… ねぇ?何かあった?」
貢   「…… 正美…(抱き締める)
     お前、幸せか…? …アイツは優しいか…?」
正美  「うん… 亨は優しいよ…
     だから、今はまだ幸せだけど、明日からはわからないな…」
貢   「…俺、お前が不幸になればいいって思っちまう…
     …そしたら、俺の気持ちもわかるだろう…って…」
正美  「…どうしたんだよ…? お前がそんな弱気になるなんて…」
貢   「…会えないんだ…! 今までだって会えないことはあったけど…
     …こんなに苦しいなんて思わなかった…!!」
正美  「………星赤さん……?」
貢   「(頷く)…お前が知ってるってことは皆知ってるのかな…?」
正美  「…そんなことはないよ… 星赤さんはストレートだと思われてるからね…」
貢   「……… まさか、正美、星赤さんと…?」(腕を掴む)
正美  「……う…ん… 何もないと言えば嘘になるけど、
     お前が気に病むほどのことじゃないよ…
     星赤さんのやり方は、ただのチェックみたいなもんだから」
貢   「…… どこまでだよ…?」
正美  「…だからチェックみたいなもんだって」
貢   「どこまでだ!?」
正美  「痛い、痛いよ!桐!」
貢   「言えよ!」
正美  「…一回、抜かれた…あと…キスしたくらい…かな」
貢   「………(手を離してベッドの端にどさっとかける)」
正美  「…桐………(隣に腰掛ける)星赤さんと付き合って行くつもりなら、
     僕程度の相手のこと、気にかけたらダメだよ…
     …自分が壊れちまう…」
貢   「……ああ… 分かってる…! お前だってわかるんだ、そんなこと…
     …俺だって、分かってる!!」
正美  「……いつから…?」
貢   「…もう一年越えた…」
正美  「…それだけ続いてんなら文句は言えないと思うよ…
    …まだ、続いてんだろ…?」
貢   「…(首を振る)…分からない…
     終わったのか、続いてるのか、それさえ分からないんだ…!
     正美……!(抱きつく)俺…!!」
正美  「………(抱いてる)
     …僕も他人事じゃないよな…桐…会えないの、そんなに辛い…?」
貢   「…ツライ…
     ツライぜ、明日から…いや、今日の夜から、きっとツライぜ、お前も」
正美  「……たぶんね… この10日間、ずっと一緒だったから…」
貢   「………ずっと一緒……?……
     ………ずっとやりっぱなしか…?」
正美  「…あ… いけね…」
貢   「…くっそ〜〜! 加藤亨! 来年は地獄が待ってるからな!!」

・・・・・・・・

貢   「…ところで、自転車旅行ってどこ行ったの?
     お前、自転車なんて持ってなかったじゃん?」」
正美  「あ… 旅行行きたくて貯めてた金で自転車買って亨と一緒に…中仙道」
貢   「…鳥居峠越えか…いいな…俺も早く戻って一緒に行けばよかった」
正美  「う〜ん、それはちょっと…」
貢   「あ、そっか… ちぇっ、つまんねぇ〜の!……
     ……正美(手で呼ぶ)
     (耳元で)もしかしてアオカンとかした?」
正美  「…バカ」
貢   「したんだな?」
正美  「…う… 一度だけだよ…」
貢   「ホントか?」
正美  「………寝袋持ってったから…」
貢   「毎晩かよ!?」
正美  「…もうちょっと」
貢   「…あーあーわかった朝昼晩とやってたわけね。
     この先の半年分やりまくったわけだ。も〜俺、同情しないから」
正美  「……もう、同志だろ…?」
貢   「違うね、俺はそんなラブラブじゃないもん」
正美  「………星赤さんてどんな…?」
貢   「知ってるんだろ? 変わんないよ…俺もその他大勢の1人だもん。
     ただ、俺が好きになっちまっただけ」
正美  「…でも、寝たんだろ?」
貢   「…寝なきゃよかった…」
正美  「…して欲しかったんだろ?」
貢   「…ああ… 思い出させんなよ……」
正美  「あ、ごめん。いつから会ってないの?」
貢   「あの日から」
正美  「ああ、それでやけに嬉しそうだったんだ。
     でも、それならまだ三週間じゃん。電話すれば?」
貢   「…誰も出ない…」
正美  「どっか旅行とか行ってるんじゃないの?
     星赤さんて、ウチに居た時もふらっと消えてたじゃん」
貢   「………そうかな…?」
正美  「そうだよ」
貢   「…電話して見る」
正美  「そうそう(部屋を出て行くのを見送る)
     …ふー、世話が焼けるなぁ… アイドルはそっちだっての」

・・・・・・・・・・

 第5章・2へつづく>>>>>

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・・・今回、何もなくてすみません。話を繋げるための回ですね。…中仙道を自転車で…いいよな…良いマウンテンバイク買って私もやりたい。でも、途中担がなきゃならないだろうしな…腕力ないから無理だけど。とりあえず歩きで充分なんですが、歩いてた時、自転車の轍があって羨ましかったのさ。さて、マース&桐君の続きです。この2人って凄く閉じてるイメージなのね…インドアというか…ラブラブカップルでもないし、なんでこうなるかなー?と作者が一番不可解だったりして。海神

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