the Back of Moonlight
月光の裏側で
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第四章 奥寺正美&加藤亨編 〜居残り〜
 2,恋
   (お忘れかもしれませんが、M&Mシリーズは、1980年代を背景にしてます)
    
    (南楠寮の一室にて)
    (部屋は4人部屋。ベッドは押入れ状の上下二段タイプが並んでいる)

正美  「(ベッドで)…は〜〜〜〜……
     なんでこんな目に会わなきゃならないんだよ…
     17歳の夏だぜ… もっと楽しいことがあったっていいだろ…?
     ひどすぎる…」(目を閉じる)

・・・・・・・
     
     (真夜中)
亨   「(むくっと起きる)………ションベン……」(トイレへ)
     (戻ってドアを開けると廊下の常夜灯の灯に照らされた正美の顔が見える)
     (暑いのでカーテンは開いている)
亨   「(ベッドを覗き込む)………誰…?
     …?……!!……まさか…… 奥寺先輩……?(驚いたままじっと見ている)
     すっげ可愛い…」
正美  「うーーーーん…」(頭をのけ反る)
亨   「!… (しゃがみ込んで見続ける)」
     (手を伸ばして髪をどける)
    「……はーーー…… (頬を指先でなぜて反応を見る)」
     (熟睡したままなのを見てさらに顔のあちこちに触れる)
    「…奥寺…正美先輩…(うっとりした顔で呟く)
     う…(自分のが起ってることに気付いて驚きながらも手を持って行く)
     ………
     …三週間……か……」
     (熟睡してる正美にキスする)
亨   「………………」

・・・・・・・

     (食堂にて朝食中)
亨   「えっ!? 午前中、補習!? そうなの!?」
正美  「…そうだよ… だから三年に居残り組が多いんだよ…
     知らなかったのか? 一年は体育会系の部活組さ。
     二年で残ってるヤツは、部活組か、家の事情だな」
亨   「はー… ま、仕方ないか…」
正美  「…お前、なんで居残りなの? 実家あるんだろ?」
亨   「あ? ああ〜 お、いえ、僕の実家、ド田舎なんす。
     な〜〜んにもないんすよ、周りに。
     それはそれでいいんすけど、今年は兄貴が帰ってくるって言うから、
     じゃあ、俺は残ろうか、と」
正美  「…加藤先輩と、仲、悪いの…?」
亨   「そういうわけでもないすけど、一緒にごろごろしてるのもねぇ…
     兄貴の暇つぶしにされるのも、大概にしろって感じですし…」
正美  「…大概にしろ…か…」
亨   「…ええ…そうです」(含みのある言い方)
正美  「…何を知ってるのか、知らないが、お前には関係ないからな。
     (席を立つ)
     これ、片しといて、それと洗濯、さっさと済まして補習前に干しとけよ」
亨   「はい」
正美  「…いい返事だな…その調子で頼むぜ」
亨   「はい、先輩!」

・・・・・・・

      数日後のある日の午後
     (部屋で短パン姿で足を机に乗せて文庫を読んでる正美に)
亨   「先輩、何読んでるんすか?」
正美  「…シバリョー」(亨を見ずに)
亨   「シバリョー…って、司馬遼太郎すか?」
正美  「ああ…」
亨   「へ〜〜、偶然すね、おれ…自分も今、シバリョー読んでるんすよ!」
正美  「へぇ、何?」
亨   「新撰組血風録」
正美  「あ〜、僕も読んだ。じゃ『燃えよ剣』は?これから?」
亨   「あ、これ読んだら読もうと…先輩は何読んでるんすか?」
正美  「へへ、その『燃えよ剣』」
亨   「終わったら貸してくださいよ…… ……?」
正美  「…なに?」
亨   「…先輩、中学ん時に『龍馬がゆく』図書室で借りたっしょ?」
正美  「ああ…」
亨   「そうだよな〜、どこかで見た名前だと思ったんスよ!
     自分も『龍馬がゆく』でシバリョーはまったんすけど、そのあと、
     借りる本、借りる本、先輩の名前があったんすよね…
     …自分、最初に相手選んだんすけど、名前見た時、絶対この人と
     思ったの、どうしてか分かんなかったんすよ!
     名前、知ってたからだったんすね!(にこっと笑う)」
正美  「…加藤先輩に聞いたんじゃないのか?」
亨   「え? いえ、聞いてないです。お、…自分が聞いたのは、
     兄貴が去年の従卒を苛めてたって話し… すいません…」
正美  「…従卒… 嫌な言い方だよな… 僕、嫌いなんだ、あれ」
    (文庫本を置いて、足を戻す)
正美  「…同じように、自分、て言い方も嫌いだ。僕の従卒やる気なら、
     それも止めろ。俺の方がまだましだ」
亨   「……先輩って外見に似合わず、厳しいすね…」
正美  「…外見? それ、僕の外見は甘いって言いたいわけ?」
亨   「………いえ…」
正美  「先輩をなめるなよ。居残りだって、自治会規則の範疇だぜ?」
亨   「…先輩、まさか、自治会…?」
正美  「…違うが、規則は守るタイプだから。目こぼしはしないぜ」
亨   「あの……」
正美  「なんだ?」
亨   「その本…先輩のですか…? それとも図書室…?」
正美  「見りゃ、わかるだろ。図書室のシバリョーは、全集本。
     これは文庫本。だから僕の」
亨   「…読み終わったら貸してもらえます…?」
正美  「…ああ…貸してやるよ。居る間はな」
亨   「ありがとございっす!」(首をひょこっと下げる)
正美  「……」
     (離れる亨に)
正美  「…おい、…亨、ほんとにシバリョー好きなのか?」
亨   「(振り向いて)はい! 好きです!」
正美  「…じゃ、新撰組じゃ誰が好き?」
亨   「そりゃ、やっぱ、土方っしょ!」
正美  「ミーハー」
亨   「ミーハーっすよ…カッコイイすもん…
     …先輩、暇でしょ…? 毎日?」
正美  「暇じゃないよ、いろいろやることがね…」
亨   「うっそ〜」
正美  「嘘じゃないよ!」
亨   「おれじゃない、僕は暇ッス」
正美  「…野球部の手伝いでもすれば…?」
亨   「そうじゃなくて…(顔が歪む)」
正美  「…なに…?」
亨   「…日野とか、行きませんか?」
正美  「日野?」
亨   「もう行きました?」
正美  「…いや…」
亨   「…それとか、映画とか」
正美  「…日野は分かるけど、映画はなんなの?」
亨   「…昭和館のオールナイトとか…」
正美  「そりゃ、無理だろ。許可下りない。
     それに、あそこの夜は、ポルノじゃないの?
     僕、女、興味ないから」(淡々と)
亨   「や! それは! あの! 俺もです!」(うろたえて)
    (言ったとたんに硬直。沈黙が流れる)


 第4章・3へつづく>>>>>

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・・・トップ絵はもちろん亨です。本当は読み手のイメージを阻害するから絵はないほうがいいと思ったんだけどね…文章の描写力もないから、絵は補填です。最初は正美の方が描き易いと思ってたんだけど、描けば描くほど変になる。亨は描く気になるキャラだけど、どうも一定しない……最初に描いた時、体格を良くしすぎたのがいけなかったね…中坊らしく細身に…とか考え始めると描けなくなる(苦笑)この章が終ってもこの2人かなり出てくるんで、早く一定させたいものです(無理かも)。 海神

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