the Back of Moonlight
月光の裏側で
...43...
... 10.. 2 ...

第十章 新章突入 〜五十嵐漸 & 二ツ木真弓 with 加藤亨〜
 2.     

     (グランド脇の投球練習場所)
     (練習中 五十嵐は別の投手の球を受けてる。二ツ木は休憩中)
亨   「よっす… この間は悪かったな…」
真弓  「加藤先輩…」
亨   「(隣に並んで座る)…大丈夫だったか…?」
真弓  「……大丈夫ですよ(にっこり笑う)」
亨   「! …ならいいけど」
二人  「(五十嵐の練習を見てる)」
真弓  「…僕が怖いのは、五十嵐でなく先輩です」
亨   「…は?」(二ツ木を振り向く)
真弓  「……僕が五十嵐を手に入れるのに、どのくらいかかってるか、わかります?」
     (五十嵐から目を離さずに)
亨   「…リトルリーグから一緒なんだろ…?」
真弓  「…(頷きながら)小学校三年からです。
     初めて会って、好きなんだって意識したのが四年の時でした。
     …やっと好きだって言えてから、まだ一年も経ってない…」
亨   「……」
真弓  「…アイツが僕を受け入れてくれたのは、僕が昔からの幼なじみで
     バッテリーを組んでる相手だからなんだと、僕は思ってました」
亨   「…?…」
真弓  「…だから…きっといつか終っちゃうんだろうな…って。
     …きっとそのうちに女の子のほうが僕よりも好きになっちゃうんだろうなって…
     …だってね…アイツ、最初の一年間は、僕のこと女の子だと思ってたんですよ…!
     一緒にソフトのチームもあるのに、野球のチームに女の子がいるわけないじゃないすか!
     アイツ、そーゆーとこトロイんですよね…」(少し笑う)
亨   「………」
真弓  「……だから…今の内に精一杯甘えたかったし…
     きっとそういうのが好きなんだろうって思ってた。
     男の子と女の子のカップルみたいにね……
     …僕に何もさせないのも、無意識に嫌なのかな…って。
     仕方ないな…って。でも、考えないようにしてました。
     …考え始めたら不安に負けちゃうってわかってたし。
     …今だけの幸せならその幸せだけ、味わっていたいじゃないですか。
     …でも、この間の五十嵐を見て、僕、そうじゃないってわかったんです。
     「見てろ」って言われて、僕はショックだったけど、
     あとで考えて、僕のこと好きだから信じてるからそう言ったんだって気がついて。
     僕は、きっと五十嵐は、僕が五十嵐を好きな気持ちの、半分、
     ううん、三分の1くらいしか僕のこと好きじゃないんだろうなぁって思ってた。
     でも仕方ない…って」
亨   「………」
真弓  「…でも違ったんです(亨を見て明るく笑う)
     先輩のおかげです」
亨   「……じゃ怖いってどういう意味だよ?」(ちょっと照れてる)
真弓  「……(真剣な顔になって)分かりませんか?」
亨   「? …全然」(首を振る)
真弓  「…女の子には取られないかも知れないけど、……男に取られるかも。
     …ってことですよ。
     で、今、一番怖いのは、加藤先輩です。
     漸ちゃんが先輩のことなんだかんだ言って意識してるのは分かってたけど、
     ピッチャーだからだと思ってたし、先輩は違うだろうって思ってたから
     やきもちくらいで済んだけど、こうなると冗談じゃないって感じですよ。
     はっきり言って、早いとこ上に上がって五十嵐の傍から消えて欲しいです。
     その先輩とうまく行きますようにって、僕、毎晩祈っちゃってますから。
     …先輩、五十嵐のこと、可愛いって思ったでしょ?
     このあいだ?」
亨   「(図星)まさか…何言ってんだよ…(カラ笑い)」
真弓  「…五十嵐に手出したら、正美先輩に言いに行きますからね」
亨   「!!…なんで知ってんだよ!?」
真弓  「…そりゃ…蛇の道は蛇ってヤツですよ…
     正美先輩、あれで度胸あるっていうか、あんまり隠してないから。
     知ってる人は知ってます。僕は柔道部の奴から」
亨   「なんで柔道部?」
真弓  「それも知らないんですか?
     正美先輩、去年まで柔道部でしたよ。
     …じゃあ、正美先輩が中等部の時、付き合ってた相手とか…」
亨   「なんだよ!? それ!?」
真弓  「僕はよく知らないから…
     それにしても…先輩、何にも知らないんですね…」
亨   「仕方ないだろ! たった三週間しかなかったんだから!」
真弓  「まあ、そうですね… 先輩、ひとつ忠告してもいいですか?」
亨   「…なんだよ…?」
真弓  「…『やりたい』じゃなく『会いたい』と思わないと、
     いつまでたっても会えませんよ」
亨   「!!!」
真弓  「早く会えるといいですね!
     じゃあ、僕はそろそろ交代しますから。
     漸ちゃーん! 交代!
     …先輩、…さっきの話、…僕は五十嵐を手に入れるのに五年かかりました。
     …ここに一緒に入るために僕、親に土下座して頼んだんですよ。
     …片思いの間の苦しさを思ったら、何があっても、
     アイツと正面切って向かい合えてるなら僕はいいんです。
     ……先輩のおかげで僕と漸ちゃんは新章突入って感じです。
     (笑って)先輩もがんばってくださいね!」
亨   「…(後ろ姿を見送りながら)
     …なんか、すっげぇ負けた感……
     やりたいより会いたいか…
     俺だって会いたいよ…
     会って……抱き締めて……キスして…………………………
     やっぱ、やりてーっ!」
11章 1に続く...>>>>>

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++


・・・う〜ん、気がついたらこの回、色っぽいことなんにもないね。喋ってるだけ。ごめんなさいです。二ツ
木君はかなり書き易いキャラです。10才でもう開き直りました!ってタイプですね。自己肯定感の強いキャラの方が、書いてて気持ちは楽です。私のキャラは片思いで悩みはしても自己否定はしないタイプが多いかな(光克は…^^;)。あ、正美先輩に言いにいきますってとこは、真弓のカマかけに亨が引っ掛かったんですな。二ツ木…やっと年相応の外見になってきた…よかった…最初のイラストは高校生の二人って感じかな〜 海神

Next... the Back of Moonlight(月光の裏側で) <44> >>>>>
<<<<< [戻る]Back... the Back of Moonlight(月光の裏側で) <42>
<<<<< Top 'the Back of Moonlight'

■the Back of Moonlight(月光の裏側で) <43>■海神社 Kaijin-sya 第一版 2008/09/07
Copyright 2003-2007 WADATSUMI, yuu. All Righ
ts Reserved.



文責・海神悠 WADATSUMI, Yuu/著作権は放棄していませんので、サイト中の文章や写真を勝手に使わないでね
◎海神別荘 Kaijin Besso◎ Since January 2004
inserted by FC2 system